20.315%と2037年—当社が伝える所得税の要点

自社株買いのニュースが続き、金相場も注目を集める2026年現在、配当や売却益にかかる所得税の扱いで迷う方が増えていますね。上場株式等の税率は合計20.315%(所得税・復興特別所得税・住民税の合計)で、復興特別所得税の2.1%上乗せは2037年まで続きます。今回は、給与所得者が押さえるべき「株式の配当・売却益」と「金地金などの譲渡益」に絞って、制度の骨格と判断の勘所を深堀りします。私たち当社は、数字の根拠と透明性を大切に、必要な前提を一つずつ整理します。

目次

  1. 上場株の配当・売却益:3つの課税の選択肢
  2. 金地金の売却益:5年超と特別控除50万円の意味
  3. 給与所得者が申告すべき具体条件
  4. 私たちの基本姿勢と実務チェックリスト

1. 上場株の配当・売却益:3つの課税の選択肢

上場株式等は、原則として税率合計20.315%です。選べるのは次の3通りです。

  • 申告不要制度(源泉あり特定口座等) – 口座で源泉徴収され、原則確定申告不要。手間は最小ですが、他の所得と通算しません。
  • 申告分離課税 – 税率は同じく20.315%。メリットは、株の譲渡損と配当・譲渡益の損益通算、さらに損失の3年繰越が可能になることです(確定申告が前提)。
  • 総合課税 – 給与などと合算され累進税率が適用。配当は総合課税を選ぶと「配当控除」の効果が期待できる一方、合算で税率帯が上がると不利になり得ます。

実務では、「損失がある→申告分離」「所得水準と配当額のバランス次第で総合課税も検討」という順で試算するのが現実的です。

2. 金地金の売却益:5年超と特別控除50万円の意味

金地金などの現物は、原則「譲渡所得(総合課税)」です。

  • 計算の骨子 – 課税対象=売却益(売却価額−取得費−譲渡費用)−特別控除50万円
  • 保有期間が5年超なら「長期譲渡所得」となり、長期分の課税対象は原則「所得の1/2」が総合課税に回ります。5年以下は短期で、1/2の優遇はありません。
  • なお、所得税額に対し2.1%の復興特別所得税が加算されます(2037年まで)。

ポイントは「取得費と期間の証明」。購入記録や領収書、地金商の明細を整えておくことで、不要な課税を防ぎやすくなります。

3. 給与所得者が申告すべき具体条件

年末調整だけで完結するのは「給与が1か所で、他の所得が小さい」ケースに限られます。次では確定申告が必要・有利になりやすいです。

  • 給与収入が2,000万円超
  • 給与が2か所以上ある
  • 特定口座(源泉あり)でも、損益通算や3年繰越を使いたい
  • 雑所得や譲渡所得が合計20万円超(住民税は別途申告が必要になる場合あり)

加えて、基礎控除は原則48万円(合計所得金額により逓減、約2,500万円超で0)で、給与所得控除の上限は195万円です。自分の所得帯と控除の関係を先に確かめると判断がブレません。

4. 私たちの基本姿勢と実務チェックリスト

私たち当社は、制度の選択肢を並べるだけでなく、「どの前提で、どの数字が効くか」を丁寧に可視化します。最後に、迷いを減らす簡易チェックをどうぞ。

  • 株式:特定口座の区分(源泉あり/なし)を確認したか
  • 配当:総合課税・申告分離・申告不要の3案を試算したか
  • 損益:通算と3年繰越の要件を満たすか
  • 金地金:保有期間5年超か、取得費と手数料の証憑が揃っているか
  • 給与:2,000万円超や複数給与の有無、20万円ルールの該当有無を確認したか

制度は毎年の見直しが前提ですが、上記の骨格は2026年時点でも実務の中核です。迷ったらまず現状の数字を洗い出し、次に方式別に並べ替えて試算する。この二段階で、多くの「もったいない課税」を防げます。